日本で唯一の「桐生和紙」 ~星野増太郎さん、奥様~
桐生でも唯一の和紙「桐生和紙」。
桐生川ダムをもう少し北側に向かっていくと、その看板はありました。
残念ながら、その日は作業が全部終わっていて
ご主人で「群馬県ふるさと伝統工芸士」星野増太郎さんにはお会いできませんでしたが
奥様(以下、お母さん(笑))からいろんなお話を伺うことができました。
桐生和紙は「楮(こうぞ)漉き」。
白が真っ白ではなく、オフホワイトのような優しい白。
お母さんもとても丁寧で優しくて明るくて。
どんな小さな質問にも嫌がらずに答えてくださいました。
桐生市の北端、根本山を源とした桐生川のきれいな流れと水質は、和紙作りに適しております。
この上流梅田の里は、その昔、川のほとりの其処此処に小屋掛けをして、楮を洗う紙郷でありました。
享保から天明にかけて桐生の商人、書上文左衛門が「桐生紙」を江戸へ送ったという記録も残されております。
今では、当時を偲ぶよすがもない、たった一軒の紙屋ですが、伝統を受け継いだ、未晒で黄ばみと張りのある和紙を作り続けています。また、漉き模様や透かし模様などにも取り組んでおります。
手にとって、その温もりを感じて頂ければ光栄です。
(「桐生和紙」チラシより)
こちらの工房では、紙ができるまでを見せてもらうことができます。
ただ、日々の作業の様子を見てもらうので
皆さんが期待されている紙漉きのところがちゃんと見られるかはわからないそうです。
「紙漉きするまでの工程が長いのよ。
木の皮をさいて、煮て、叩いて、いろいろ混ぜてやっと紙漉き。
紙漉きは紙づくりの最後の最後だからねぇ」
お母さんのお話を聞けば納得。
少ない人数で最高の紙を作ろうと頑張っていらっしゃる方に向かって
こちらの都合で「紙漉きだけ見せてください」なんてむしが良すぎますよね。
その受け継がれてきた伝統の作業工程や仕事の様子を拝見し、
雰囲気を感じさせていただき、学ばせていただく。
これだけでここへ来た価値があるというものです。
紙づくりは冬が一番だそうです。
これを「寒漉き(かんずき)」といい、
まさしく今(10月)頃からが最盛期で、6月下旬にはほぼ終了。
夏の間は小物づくりや、こまごまとした作業をされているそうです。
一枚のおおきなものから、
封筒、便箋、短冊、ブックカバーなどに加工した日常に使える小物、
芸術品として展示されるほどのものまで、
見て買うことができます。
シーズンオフでもお母さんや増太郎さんのお話を聞くだけでも楽しいですよ。
是非一度静かな梅田へ向かってみてくださいね。